来 歴


守護神


白い翅の生えた
小さな守護神に先導されて
豆の蔓を伝わらないでも
天上に行きつけると思っていた

世界は危険な道のりで
投網のようにかぶさってくる空と
夜になれば
声を立てるいとまとてなく
搦めとられてしまう底なしの闇の
その境界のところで
いつもうろたえていた私

花輪の首飾りを編むために
たくさんのクローバーが必要なのに
四番目の葉だけを求めては
「残る一枚が幸福」と歌っていた
幸福を探すなんて
千のクローバーの中から
九百九十九の失望を選択することだ

いつからか
白い翅のかわりに
背中に生えて来た青くて固い棘
不器用な私の守護神に
かくも完璧に守られては
天上を旋舞するなど夢のまた夢
自らの棘にさし貫かれては
不意の墜落をくり返してばかりいる

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